松竹梅の順番が逆に表示されることもある?!語源や由来も紹介します

お寿司屋さんやうなぎ屋さんのメニューでよく見かけるこの「松竹梅」の表記ですが、松が一番上(つまり高いもの)として捉えている人は少なくないと思います。

私も実は松が一番上だと思っていました。

しかしながら、実は「梅」が一番高いとしているお店もあるのだとか。

「松竹梅」とはいったいどこから来たのか、そしてどうしてこの順番で定着したのかを考えてみたいと思います。

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松竹梅を格付けとして使うのは何故?

まず初めにこの3つの植物を等級(格を示す順番)として何故使われるようになったのでしょうか?

一般的な認識として「松」「竹」「梅」の順で、松が最上級とされています。

瑞祥(ずいしょう・めでたい印の意味)としての松竹梅には明確な優劣があるわけではありません

しかし日本では松が特別とされる理由もあるのだとか。

神事では松は神様をお迎えし、邪気を払う力を持つとされています。

一番知られていて、馴染み深いのは「門松」だと思います。

今では民家で正月に門松を置く家は少なくなりましたが、私自身デパートなどに初売りにいくと立派な門松を目にします。

昔から竹や梅は一般庶民などに使われていた反面、松は仙人の食用として特別なものとされていました。

水墨の仙人画には、松の木が描かれていたり、松の葉を噛んでいる絵もあることから松は特別視されて、一番上だという認識に繋がったのかもしれません。

結婚式の三々九度(三回に分けて杯を飲む)の順番を「松竹梅」と言うので、めでたい順番だと思われたとも言われます。

お店で使われる松竹梅

身近なものとして、お寿司屋さんやうなぎ屋さんのメニューで松竹梅と書かれていたりします。

元来「特上」「上」「並」と書かれていましたが、「特上を注文して気取っている」や、「並を注文して卑屈だ」などと言われてしまったりする事をなくす為に、「特上・上・並」を「松・竹・梅」に置き換えて表現することが始まりでした。

先ほどにも言いましたが、「松」「竹」「梅」3つの植物にめでたさの優劣はありません。

最近、お店によっては「梅」を特上として呼んでいるお店もあるようです。

江戸時代では、京の島原や大阪の新町にあった遊郭では遊女の格付けにも使われたのだとか。

  • =太夫(たゆう)
  • =天神(てんじん・さらには3階級に分かれていた)
  • =鹿子位(かこい・囲いとも書く。島原では鹿恋と書いた)

このように格付けされていた名残りで、松が最上級であるという認識が根強くなったのかもしれませんね。

うなぎ屋で長時間待たされることを「待つ(松)だけ(竹)で、うめ(梅)え」などと洒落て言ったりもしていたこともありました。

今では縁起物として存在している「松竹梅」

文字としては等級(格付け)で使われたりする松竹梅ではありますが、図柄としてはおめでたいものの意味として幅広くしようされ、理解されるものとなりました。

図柄としては引き出物の食器などのデザインもそうですし、着物にも松竹梅は使われています。

留袖などのおめでたい席で着る着物だけではなく、お茶会などで着る着物などでも帯などに松竹梅の柄は用いられますし、めでたさとしての格付けも高いようです。

様々な場所で使われるようになった松竹梅。

自然と目に入るほど我々日本人にとって身近なものになりましたね。

松竹梅の文字はそれぞれに意味がある?

日本で縁起物として親しまれている「松竹梅」の組み合わせですが、なぜこの3つなのでしょうか?

この松竹梅はそれぞれ冬と深く関わりのある植物です。

  • 松は常緑樹(1年を通して緑色の葉をつけている樹木)で、冬でも枯れずに凛々しい姿を保つことから「長寿・延命」を信じて好まれた。
  • 竹も常緑樹で、折れにくく成長がとても早いことから「生命力・成長」の象徴として好まれた。
  • 梅は葉は落ちますが、樹齢を重ねても早春にどの花よりも先駆けて、気高い香りの美しい花を咲かせることから「気高さ・長寿」の象徴として好まれた。

これらのことから、日本では健康や長寿への願いをこめて使われるようになったようです。

私自身考えてみると、日本庭園にも松や梅は必ずと言っていいほどあるような気がしますし、竹も子供の頃から慣れ親しんだ植物です。

理由や願いがあったのですね。

中国からやってきた? でも実は考え方は日本と違う

「松竹梅」は文字通り「松」「竹」「梅」それぞれの植物の名前を合わせた言葉です。

日本では慶事(けいじ・祝い事の意味)や吉祥(きちじょう・ここでは幸先のいいという意味)のシンボルとして、「松」「竹」「梅」の3点を組み合わせました。

祝い事の席で述べられたり、引き出物などのデザインにもよく用いられます。

この「松竹梅」の組み合わせは、中国から伝わってきたものです。

中国ではもともと「3」という数字がめでたい数とされ、縁起を担いで3つの植物の組み合わせが好まれたのだとか。

では、中国ではいつ・どのような人に使われていたのでしょうか。

宋の時代より始まった中国の文人画として好まれる画題のひとつ、「歳寒三友(さいかんのさんゆう)」です。

文人画とは、文人(平たく言うと教養に深く、優れた文章を書く人)が描いたもので、歳寒三友は「松」「竹」「梅」の3つを指します。

清廉潔白・節操」という文人の理想を表現したものと認識され、日本へ伝わったのは平安時代のようです。

江戸時代以降に民間でも流行するようになりましたが、日本では松竹梅といえばめでたいことの象徴として考えられていて、本来の中国の認識とは大きく異なっているようです。

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まとめ

  • 等級(格付け)として使われるが、明確な優劣はない。
  • お店で使われる松竹梅は注文しやすくするため。
  • 現在では松竹梅=おめでたいものとしての認識。
  • 松竹梅の3つの植物にはそれぞれ意味があり、理由があった。
  • 中国から伝わった松竹梅だが、認識は大きく異なっている。

「松竹梅」を見ると、縁起のいい言葉という思いが先に来るようですね。

古くから関わりのあるこれらの植物、それぞれに願いをこめて使われていたこともわかりました。

お店のメニューに使われる「松竹梅」というのは縁起のよさとは離れた使い方で、この順番で使わなくてはならないわけではないようです。

私もこれから先「梅」を特上としているお店を探す楽しみができました。

日常に馴染んだ松竹梅、何故ここに使われているのか、考えてみてはいかがでしょうか。

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