先日、台ふきんを買い替えました。簡単に選んだ一品なのですが、購入してから材質を見るとレーヨン100%と表示されていました。
布巾といえば綿や麻だと思っていたのですが、意外にもレーヨンの布巾も沢山出回っているようです。
一方で普段自分が着ている服でレーヨンのものはあまり見かけません。
布巾の素材になり得るなら、丈夫で綿や麻にに近い性質なのでしょうか。
少し調べてみると、人絹(じんけん)という別名がありました。人工の絹、という意味だそうです。
ではレーヨンは絹に似た布なのでしょうか。絹、すなわちシルクとの違いも含め、レーヨンについて調べてみることにしました。
シルクとレーヨン、それぞれ何から出来ているの?
シルクの原料

シルクは カイコ(カイコガとも言う)の「まゆ」からとった繊維です。
まゆは少し長細いボール状の形をしています。 カイコはサナギの期間中、このまゆの中で過ごします。
まゆはカイコが口から出して作った一本の糸でできており、この糸を何本かより合わせて一本にしたものが生糸と呼ばれるシルクの原料になります。
糸の長さはまゆ1つで1000メートル近くもあるそうです。
私は幼い頃に1度だけ養蚕農家の見学に行ったことがありました。正直、大量のイモムシがいてぎょっとしたのを覚えています。
快適な衣服の為に虫の作る繊維まで利用しようなんて、人類はたくましいですね。
レーヨンの原料

レーヨンは木材パルプに含まれるセルロースが原料です。最初は短い繊維状ですが、化学処理をして溶かした後、細い穴が空いた口金から酸性溶液中に押し出すと長い繊維になります。
レーヨンは木材から作られるので天然繊維だと言う人もいますが、これは間違いです。レーヨンは化学繊維です。
繊維を溶かして再び繊維にする、この作り方から化学繊維の中でも再生繊維と分類されています。
化学繊維ではあるものの、生物に分解されるので環境には優しいと言えますね。
シルクの特徴

シルクは滑らかな肌触りで美しい光沢があります。天然繊維で静電気が起こりにくいのも利点です。
摩擦に弱く、濡れた状態でこすれるとスレが起こります。繊維の表面が剥がれて毛羽立った状態で2度と直りません。
また、シルクは紫外線に当たると黄ばみます。
シルクと言うと、私は着物を思い浮かべる事が多いのですが、普段着に楽しむなら多少の雨や水はねにも強い化学繊維の洗える着物が便利です。
肌に直接触れる裾よけも、洗濯しやすいポリエステルなどが便利です。
でも、長じゅばん(着物の下に着る下着)だけは絶対に正絹(シルク)がオススメです。
全て化学繊維で揃えてしまうと、歩いているうちに布の摩擦で静電気が発生して裾が変な方向に引っ張られて着崩れるのです。
裾よけと着物に挟まれた長じゅばんは汚れにくいので、ここに高価でも静電気の発生しにくいシルクを持ってくるのが私の一押しです。
過去に私が通っていた着付け教室は、着付けショーに使うために雛人形が着ているような高価な着物を何着も保有していました。
残念ながら着る機会は無かったのですが、1枚1枚白布に包んで保管していると聞いたことがありました。できる限り紫外線に当てない為の、昔からの工夫だったのかも知れませんね。
レーヨンの特徴

レーヨンは「人絹」の別名の通り、シルクを目指して作られた繊維です。シルクの様な光沢があり、肌触りも滑らか。そしてシルクより断然安いのが特徴です。
さらに吸湿発熱効果があり、多くの染料と相性がいいので美しい色を表現できるのです。
これだけ聞くとレーヨンって最高なのでは?と思ってしまいそうですが、やはり弱点もあります。
一言でいうと水に弱いのです。吸水性は高いものの、水を含むと必ず縮んで2度と戻りません。摩擦にも弱いです。
水にぬらしてごしごし擦る台ふきんの素材としては最悪だと思うのですが、安さ重視の素材選びと思えばこれもいいのかも知れませんね。
台ふきんとしての利点は白化することかも知れません。水分を含んで摩擦を受けると繊維が分解して白っぽく見えます。
少しでも白いほうが衛生的に見えて気持ち良く使えるように思います。
生地は間違いなく痛むのですが、どうせ短寿命になるのなら我が家の台ふきんもどんどん使ってあげようと思いました。
洗濯やアイロンの注意点

シルクとレーヨンは見た目だけでなく取り扱い方法もよく似ています。
シルクは大変デリケートで扱いの難しい素材です。レーヨンも繊細な素材で、水につけると縮む上に色落ちもしやすい素材です。
また、他の繊維との配合割合によっても取り扱いが変わってきます。
どちらもウォッシャブル加工がされた洗濯可能なものがあるのですが、洗濯の際には取扱い絵表示に従うより他はありません。
洗濯機で洗えるもの
中性洗剤を使用し「おしゃれ着洗いコース」等のコースで洗います。
手洗いできるもの
たらいに水と中性洗剤を入れて30秒ほど押し洗いをします。
たらいの水を何回か入れ替えて泡が出なくなったら、乾いたバスタオルにはさんで上から押さえて水分を取りましょう。
干す際は、日陰で平干しが良いようです。
アイロン掛けの際はあて布をします。水分に弱いのでどちらも必ずドライでかけます。
シルクは低温、レーヨンは中温で行います。
まとめ

シルクとレーヨンは見た目だけでなく取り扱い方法もよく似た素材です。
それもそのはず、レーヨンは人工のシルクとして誕生した素材なのです。
主な共通点を挙げると
- 生物に分解されるので環境に優しい
- なめらかな肌触りや光沢のある見た目で高級感がある
- 水や摩擦に弱くて取扱に注意が必要
という点があります。
大きく異なるのは原材料で、シルクは動物由来、レーヨンは植物由来です。
どちらも高級感のある素材ですので、礼服などのとっておきの服に適しています。シルクは着物の長じゅばんにもオススメの素材です。
家庭で洗濯できるものもありますが、どちらも取り扱い絵表示に従うことが必須です。
そんなレーヨンが台ふきんによく使われているのは意外でした。
安価で吸湿性が良く、縮みやしわなど気にしなくても良い点が評価されたのかもしれませんね。
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