「挨拶しない子供」その理由と自然に挨拶を促す方法を紹介します

先日、小さい子供がいる知り合いに会いました。知人と挨拶を交わした後に、しゃがんで子供に「こんにちは」と言うと、もじもじとお母さんの後ろに隠れてしまいました。

知人は「ごめんなさい、挨拶ができなくて困っているの」と言いました。自分の子供が大きくなった今、このシチュエーションは久しぶりのことでした。

そして、自分も子供の頃は内気でしたし、自分の子供にも同じことで悩んだ時期があったことを思い出します。

周りに相談してもだいたい「気にすることないよ、まだ子供だし」「大丈夫、いずれできるようになる」と言われますが、親子にとってはかなり大きな課題でした。

同じように悩んでいるお父さん、お母さんは多いのではないでしょうか。

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どうして挨拶ができないの?

「どうして挨拶ができないの?」と問いかけても、なかなか解決はしてくれないと思います。子供には子供の事情や訳があるはずです。まずは、子供の気持ちを考えてみましょう。

内気な性格

とにかく人前が恥ずかしい、家ではあんなに元気なのに外に出ると、借りてきた猫のようにおとなしいという子、けっこう多いんです。

私も他の子が元気にご挨拶をしてるのに、自分に引っ付きもじもじしている我が子を、大丈夫なんだろうか?という焦りと不安、そして「なんで?」という気持ちになっていた時がありました。

その時のことを子供に聞くと、「なんでかわからないけど、とにかく恥ずかしかった」と言います。特に理由があるわけでなく、恥ずかしがりの性格だったんですね。

新しい環境に慣れるまで時間がかかったり、いつもと違うシチュエーションに戸惑ってしまう子も、多いのではないでしょうか。

知らない人に戸惑いがある

大人にとっては、何気なく挨拶をする人も子供にとっては、誰かわからない知らない人です。大人だって、「誰だっけ?」と考えてしまう人は挨拶が遅れてしまったりしませんか。

子供も「この人は誰だろう?」と頭の中で照合しているんだと思います。さらに、最近では親にも学校にも「知らない人に気を付けましょう」と言われている子も多いはず。

だとしたら、きちんと慎重に相手を見極めているのかもしれませんし、その分安心ともいえるのではないでしょうか。

タイミングがわからない

「こんにちは」を言おうと準備しているのに、「こんにちは、大きくなったわね」なんて、違う話が始まってしまうと、子供は挨拶のタイミングを逃してしまうことがあります。

それなのに、後で「きちんと挨拶しなくてはいけませんよ」と言われると、子供はとっても悲しい気持ちになります。

相手に伝わらなければ意味がないのかもしれませんが、少しづつ頑張っていることもあるのです。大人が気づかないということも、しばしばあるのではないでしょうか。

親の前だけできない

挨拶できないと思っていても、実は親の前以外ではきちんと挨拶をしているかもしれません。親の前では、なんとなく恥ずかしかったり、親に頼ってしまったりすることがあります。

内気だと思っているのに、先生やお友達の親から「○○ちゃん、しっかりしてますね」と言われたことはないですか。

挨拶の場が少なくなっている現代

挨拶ができない理由は、子供の性格的な問題だけなのでしょうか。現代社会の生活にも理由がありそうです。

生活環境

子供が挨拶できないと、悩む親御さんでしたら普段から自分の挨拶も気を付けていることと思います。

挨拶がこのままできなかったら、相手に不愉快な思いをさせてしまうかもと思ったり、集団生活に入ったら大丈夫なのかと気になったり。

挨拶の大切さが分かっているからこそ、外でも自分が挨拶する姿を見せたり、家でも挨拶をするよう心掛けているのではないのでしょうか。それでもできないから、心配なんですよね。

核家族が増え、おじいちゃんやおばあちゃん、親戚からも離れて暮らし、近所とのお付き合いも減っています。昔に比べると、挨拶の場が極端に少なくなっているんです。

小さいころから毎日、何人もの知り合いと自然とあいさつを交わしていた頃と違って、子供にとって挨拶のハードルが高くなっていると思います。

コミュニケーションツールの拡大

少し大きくなってくると、親のスマホを使い、SNSでお友達やおじいちゃんおばあちゃんとコミュニケーションをとる子も多いのではないでしょうか。

SNSはとても便利です。画面上でやり取りができ、かわいいスタンプで感情表現もできるとなれば、子供はやりたくて仕方ないですよね。

例えば、おじいちゃんにプレゼントをもらったとしましょう。直接受け取れば、その場でお礼を言えますが、離れていたらどうしますか。

電話かSNSでお礼を伝える、だいたいこのふたつの方法だと思います。SNSの場合、「こんにちは」とスタンプを送り「プレゼントが届いた」と文字を入れ、「ありがとう」とスタンプを送信する。

そうなんです、挨拶がスタンプで済んでしまうんです。頭の中から言葉を探し出すのではなく、画面上で選ぶだけでいいんです。

これが頻繁になると、相手が目の前にいる時のやり取りが、難しいと思うようになるのではないでしょうか。

自然に挨拶を促す方法

では、どのようにしたら子供が挨拶できるようになっていくのでしょうか。できることはやってあげたいというのが、親心ですよね。私が、子供にやってみた方法も合わせてご紹介します。

家庭内で挨拶を充実させる

社会生活をおくる上で挨拶は、なくてはならないものです。「私は率先して挨拶をしているのに」という親御さんも、もう一度日常の挨拶を見直してみましょう。

「おはようございます」「いってきます」「こんにちは」「さようなら」「ただいま」「おやすみなさい」と挨拶はたくさんあります。

食事の時の「いただきます」「ごちそうさま」感謝の気持ち「ありがとう」も多く使う言葉です。この9ワードを、親が率先して言うようにしましょう。

ここで気を付けてほしいことが一つあります。夫婦間やおじいちゃん、おばあちゃんともきちんとした挨拶を交わすことです。日々の挨拶、抜群のお手本を見せてあげてください。

挨拶の準備をさせてあげる

引っ込み思案の子に、「元気に挨拶をしなさい」というのは、けっこう緊張するものです。最初は、挨拶する場があることを、事前に知らせてあげると心の準備ができます。

例えば、前から知人が歩いてきたことがわかったら「前から近所のおばさんが来たよ、ママが手をきゅきゅっと2回握ったら一緒に、こんにちはって言ってみようか」と言っておきます。

一緒に挨拶することで、ひとりでする恥ずかしさや緊張感もほぐれ、手を握ることで挨拶のタイミングを知らせてあげることができます。

また、人間は苦手意識のあることに対して、笑顔が消えてしまうことがあります。子供なんて、もっとですよね。心臓はドキドキ、できるかなと不安に押しつぶされそうになって当たり前です。

そんな時、緊張をすぐにほぐせるのが笑顔です。表情が堅いと緊張も強くなります。逆に柔らかい表情は、緊張をほぐしてくれます。

人間の脳は、表情にあった感情を生むので、作り笑いでもいいんです。子供が緊張するような事があったら、優しく口角をにっと指で上げて「笑って」と言ってあげましょう。

緊張もほぐれて笑顔で挨拶ができるといいですよね。小さな声でもいいんです、徐々にでもいいんです。挨拶ができたら、必ず褒めてあげてくださいね。

会釈を一緒に教えてあげる

子供が大人を見上げたまま元気に「こんにちは」と挨拶をしている姿って、無邪気でかわいいですよね。でも、恥ずかしくても、声が小さくても、タイミングがつかめなくても大丈夫。

両手を前に、「こんにちは」と頭をちょこんと下げていたら、相手もこの子は今、挨拶してくれたと認識することができます。

だんだんと声が出てくれば、とてもお行儀の良い挨拶ができる子になりますよ。

成功体験を増やしてあげる

最初は蚊の鳴くような声でもいいんです、会釈しかできなくてもいいんです。できたら一緒に喜んで、たくさん褒めてあげてください。

「○○ちゃんの挨拶で、○○さんがとても喜んでいたよね、○○ちゃんも嬉しいね。ママも見ていて嬉しくなったよ」と、挨拶が相手も自分も周りの人も、幸せな気持ちになることを伝えてあげてください。

最初は親と一緒に挨拶をしていたとしても、できたら褒めてあげる。次は、親の挨拶の声を、少し小さくしてみてください。

子供の声が聞こえたら「すごいね、大きな声で挨拶できたね。○○さんも大きな声で挨拶してくれたね」と、一つ一つの成功を喜んでください。

子供は褒められると、「できるんだ」「認めてくれた」と感じ、成功体験が勇気になります。ほんのちょっとの失敗が平気になってくるので、またチャレンジしようとします。

挨拶につながる子供との関わり方

すぐに挨拶ができなくても、焦らないでください。自然と子供が自分から挨拶できるようになるコツを紹介します。

あいさつができなくても責めないで

一緒に挨拶しても、合図を出しても挨拶できない時はたくさんあると思います。そりゃそうですよ、大人だって苦手なことはすぐにできませんよね。

挨拶ができなかった時は、「何でできないの?」と責めないでください。子供は、とても罪悪感を感じて挨拶をすることが重荷になり、嫌いになります。

「さっき恥ずかしかった?」と聞いてあげて、「ママも緊張するときあるよ」と共感し、誰にでもそういうことがあるんだと安心させてあげてください。

挨拶されると嬉しいを体験させる

まずは家の中で、挨拶は気持ちのいいものということを、感じさせてあげてください。

「おはよう」と言えたら「気持ちのいい朝だね。良い日になりそうだね」とか、「いただきます」と言えたら、「おいしいかな?ママ、ドキドキしちゃうな」と感情を込めて伝えます。

挨拶しないと叱られるからという「言わされている挨拶」ではなく、挨拶を交わすことでお互いが気持ちいいということがわかると、自然と習慣化してくると思います。

焦ったり他の子と比べないようにする

公園や保育園、習い事で元気に挨拶し、活発に行動する子がいると家の子は大丈夫なのだろうかと、つい心配してしまいます。

挨拶が上手にできない、お友達とすぐに打ち解けることができない、お箸が上手に使えないと、できないことは山ほどです。

ついほかの子や兄弟と比べて「○○ちゃんはできるのに、どうして?」と子供に言いたくなりますが、それは言わないでほしいと思います。

言われた子は、とても傷つき、不信感につながり愛情さえ疑ってしまうこともあります。私もたくさん悩みました。

周りの子ができて、自分の子ができないと、駄目な母の気がしてきてイライラすることもありました。周りに相談しても、「大丈夫、いつかはできる、ほかの子と比べないで」ばかりです。

でも、それって本当なんです。自分にも得手不得手があるよに、子供にだって得意なことと苦手なことがあるんです。そして成長の過程も個人個人で違います。

成人まで20年あるんです。すぐにできないことなんて、たくさんあって当たり前、そして20年しかないんです。

一つ一つの出来事を子供と向き合うことは、後に親にとって宝物になります。子供の一番の応援団になってあげてください。

あいさつ運動は続けよう

子供が上手に挨拶ができるようになっても、家での挨拶は気持ちよく続けていきましょう。小さい頃は挨拶できたのに、少し大きくなると挨拶をしなくなる子がいます。

恥ずかしいこともあるのでしょうが、家で自分の部屋にいる時間が増え、家族の中で挨拶することが減ってしまうことも原因のひとつではないかと思います。

せっかく上手にできるようになった挨拶が、だんだんとおろそかになることが、ないようにしたいですよね。

ありがとうから始めよう

「こんにちは」が難しかったら、まずは「ありがとう」から始めてみませんか。「ありがとう」が挨拶かは、いろいろな見解があるようですが、挨拶の第一歩にはとても良い言葉だと思います。

自分が何かをしてもらったら、感謝の気持ちを込めて「ありがとう」と伝える。お互いが気持ちのいいとても素敵な魔法の言葉です。

「ありがとう」は一日に何度でも使える言葉です。日常生活の中で、親がなるべく使う機会を増やしてみてください。

「○○してもらえるかな?」「ありがとう、助かったよ」という感謝の気持ちを表すことで、お互いが気持ちいことを感じ、言葉を交わすことの大切さを、肌で感じてくれるようになると思います。

それができるようになってくると、挨拶も難しくなくなってくるはす。

大きくなって、挨拶はできても「ありがとう」と「ごめんなさい」ができない子がたくさんいるけれど、そんな心配もなくなりますよ。

私と子供の挨拶体験談

 

最後に、自分の子供の頃や娘の子供の頃の「挨拶」にまつわる体験を思い出してみました。小さいころに上手に挨拶できなくても、コミュニケーション力は身に付きますよ。

委縮してしまう子供

子供の頃内気だった私は、やはり挨拶ひとつでいつもドキドキしていました。

母が相手と挨拶を交わし、少し緊張しながら「こんにちは」を用意しているのですが、「そういえば~」と話が始まってしまい、挨拶のタイミングを失ってしまうことがよくありました。

自分では、けっこう頑張って挨拶をしたつもりが、実は声が小さくて母たちの会話に消えてしまうこともありました。

「挨拶しなさい」と言われると、声が小さかったかもしれない、でもがんばったのにと悲しい気持ちになったことがあります。

少し大きくなると、挨拶や態度に厳しかったこともあり、親と一緒の時より一緒でない時の方が、きちんとできるんです。親に見られていると思うと、何故か何となく委縮してしまう。

挨拶だけでなく、例えば運動会や学芸会なども、親の目がない時のほうが、のびのびとできるんです。私は知ってる人に見られている恥ずかしさや、後で何か言われることが嫌だったんです。

学生の頃からやっていた、ボーイスカウトのボランティアでたくさんの子供を見てきましたが、このタイプの子が実に多いことに驚きました。

お母さんといるとおとなしい子が、送ってきたお母さんと別れたとたん、活発に物事を進めていきます。お母さんからは、いつも「引っ込み思案で困っているんです」と相談を受けていました。

挨拶も集団行動もきちんとできていることを伝えると、半信半疑で驚かれていました。このタイプの子は成長とともに、自分で考え行動をするので、あまり親を頼らず自立が速いような気がします。

子供はちゃんと見ている

子供の挨拶に悩んでいる親御さんは、子供との挨拶ばかりに気をとられがちです。

以前ボーイスカウトに参加したお父さんと子供が、お迎えに来たお母さんに「ただいま」と言うと、子供には「おかえり」と言うけれど、旦那さんのほうはちらっと見るだけ。

そんなお母さんが、とても多かったんです。私も気づくとよくやっていましたが(笑)。お母さんに、悪気はないんです。忙しいし無意識なのですが、子供はちゃんと見ているんです。

失敗も成功も成長の糧に

私の子供も小さいときは内気だったので、挨拶にはとても悩みました。保育園の行きと帰りに家のエレベーターで子供が挨拶ができたときには、少し大げさくらいに褒めました。

あの狭い空間で、大きな大人を見上げて挨拶ができるって、すごいことだと思いませんか。近所の方も、とても褒めてくださり、子供はどんどん違う人にも挨拶するようになっていきました。

近所のおばさん、管理のおじさん、宅配便のお兄さんと、心配していたのが嘘のように次々と成功し、小学校になると私よりご近所さんと仲良くなっていました。

その頃のことを子供に聞くと、成功すると嬉しくなり、コミュニケーションが楽しくなったと言っています。しかし、親も日々子供と接する中でイライラしたり、悲しくなることもあります。

私も、叱っては後悔し落ち込む事の連続でしたが、少しの失敗は気にしないで、良いところは褒めるようにと気づいてからは子供もどんどんと変わっていきました。

喘息を持ちながらも、学芸会の主役に立候補したり、部活の部長になったり、ダンスで海外に行ったりと、どんどんと自分にチャレンジをしていきました。知らぬ間に、喘息も出なくなっていました。

子供は子供なりに、一つ一つを克服し成長してくれました。子育てを終えた今思うことは、子供は困った時や悩んだ時に、手を添えてあげるだけでよかったんだなということです。

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まとめ

「性格だから仕方ない」と済ませられない親の気持ちが、どんどん苦手になっていく原因でもあります。ほんの少しだけ考え方を変えることで、とても楽な気持ちになれます。

  • 挨拶の場が極端に減っていることで、挨拶のハードルが高くなっている。
  • 内向的な性格で恥ずかしい、タイミングがわからない。
  • 子供とだけでなく、家族全員で挨拶を交わす。
  • 挨拶することが事前に分かれば伝え、会釈も一緒に教える。
  • 成功したら必ず褒めて、成功体験を増やしてあげる。
  • ほかの子と比べないで、子供の良いところを伸ばしていく。
  • 笑顔で挨拶することを心がける。

日々、子供と向き合うことは、努力や忍耐がいることもあります。そんな時は、数日後のわが子ではなく、何年か先のわが子を思い浮かべてください。

「これができるようにしたい」より、「こんな人になってほしい」という思いを込めて、子供の一番の応援団で居続けてください。

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