肌寒い季節を乗り切るために、暖かい着こなしは大切です。
ウールやカシミアは秋冬のマストアイテム、マフラーやストールをはじめ洋服などの素材として多く使われていますね。
それぞれ素材の名前を聞いたことがあっても、なんとなくデザインや価格で選んでいませんか?
ウールとカシミアはどちらも動物性の素材ですが、各グレードによって肌触りはもちろん、防寒効果や価格が違います。
本記事では、ウールとカシミアの違いやそれぞれのメリット・デメリットに加え、自宅で洗濯する際の注意点をご紹介します。
ぜひ最後まで読んで、上手にウールとカシミアを冬のおしゃれに取り入れてくださいね。
ウールとカシミアの違いは?

ウールは主にヒツジ、カシミアはヤギからそれぞれ採れる毛です。
そうは言われても素材の違いがよくわからないと、どのように選べばよいか迷ってしまいますよね。
まずはウールとカシミア、それぞれ特徴について見てみましょう。
ウールとは
ウールは一般的にヒツジの毛を使用しています。ヒツジは品種改良がおこなわれ続け、世界のヒツジの品種は約3,000種ほど。メリノやコリデール、ロムニーなどの品種があります。
ウールの収穫量は、ヒツジ1頭あたり年間で約4~5㎏です。
とくに代表的なメリノウールは、見栄えがよく高級ブランドにも使われます。オーストラリアやフランス、ニュージーランド産が主な産地です。
ウールが使われる衣料品、とくにマフラーやストールなどの巻き物はボリュームが出やすい特徴があります。
モコモコとした見た目も暖かいウール素材は、カジュアルな着こなしによく合います。
カシミアとは
カシミアは、インド北部のカシミール地方に生息するカシミヤヤギから採れる産毛(うぶげ)です。
主な産地は、中国北西部やモンゴル、ネパール。
カシミヤとも呼ばれますが、消費者庁家庭用品品質表示法の表記はカシミアと登録されています。
カシミヤヤギから採れる産毛の量は、年間で1頭あたり150~200gと生産量が少なく希少価値が高いものです。
また、カシミアは独特のツヤを帯びています。その上品な光沢は見た目が華やかになるので、フォーマルなドレスコードにぴったりです。
ウールとカシミアのメリット・デメリット

ウールとカシミアは、冬の冷たい風から肌を守る防寒素材としてだけでなく、おしゃれなコーディネートのアクセントにもなります。
その特性はどちらも毛そのものが1本1本縮れており、空気を含みやすいので保温性が高い素材です。
しかし、2つの素材は虫食いの被害に合いやすく摩擦に弱い面も持ち合わせています。
それでは、ウールとカシミアのメリット・デメリットについて詳しく見てみましょう。
ウール素材のメリット・デメリット
ウール素材のメリット
ウール素材のメリットは以下の通りです。
- 値段が安い
- 型崩れしにくい
- 撥水性がある
- 厚みがあって頑丈
- シワが回復しやすい
秋冬の衣類に使われるイメージのウールですが、実は通年着用できるテーラードジャケットにも使われています。
サマーウールと呼ばれ、さらりとした肌触りが心地よい素材です。ウールにはハリがあり、シワが回復しやすいのも嬉しいポイントです。
ウール素材のデメリット
ウール素材のデメリットは以下の通りです。
- 毛玉ができやすい
- 虫食いの被害を受けやすい
- 質の悪いウール製品もある
- チクチクする
ウールは、繊維の表面に凹凸(おうとつ)があります。繊維質なので絡まりやすく、摩擦によって毛玉ができやすい素材です。
また、少し水がかかった程度なら撥水性のあるウール素材ですが、完全に水に浸かると縮みます。
主なメンテナンス方法はブラッシングですが、しっかりとアフターケアをしなければ劣化に繋がります。
さらに、繊維同士が絡まり合って固いフェルト状になるので注意が必要です。
ウール素材は、値段もピンキリです。価格の安いものは、お店の棚に並んでいるだけなのに、すでに毛玉だらけの粗悪な商品もあります。
加えて敏感肌の方は、チクチクして肌が荒れてしまうことも。デザインや価格だけでウール素材の衣料品を選ぶのは要注意です。
カシミア素材のメリット・デメリット
カシミア素材のメリット
カシミア素材のメリットは以下の通りです。
- ウールより軽い
- 保温性・保湿性・伸縮性がある
- ツヤ感があり見た目が上品
- 肌触りがなめらか
カシミアは、1本1本の繊維が14~16ミクロンと極細なのが特徴です。
糸を作る際は繊維をたくさん重ね束ねることで密度が増し、より多くの空気を閉じ込められるので、保湿力効果が高まります。
細かい繊維から生まれた糸で紡いだカシミアの衣料品は、風を通しにくいのであたたかに過ごせます。
カシミアは毛艶があって肌触りもなめらかです。また、発色がよく見た目も華やかで、防寒の機能性も充実しています。
カシミア素材は、全体のバランスがとれているすぐれものです。
カシミア素材のデメリット
万能に思えるカシミアにもデメリットがあります。以下をご覧ください。
- 値段が高い
- 偽物が出回っている
- 水に弱い
- ウールより毛玉ができやすい
- 摩擦や引っ張りに弱い
価格は商品によってピンキリですが、希少価値が高いカシミアは値段が比較的高価です。あまりに安いものだと偽物の可能性があります。
加えて、カシミアはとにかくデリケートな素材です。ひとたび水に濡れるとシミになりやすいので細心の注意を払って使用しなければいけません。
また、カシミアは細く短い繊維をねじり合わせてつくられています。
カシミアは糸端の数がばらばらのため、擦れたときにウールよりも毛玉ができやすいので、使用後は必ずブラッシングなどのケアが必要になります。
ウールとカシミアはホームクリーニング可能!?

ウールやカシミア素材の衣料品を使用した際、型崩れや縮みを心配してクリーニング屋さんに出している方も多いのではないでしょうか?
たしかに、以下の場合は自宅での洗濯はできません。
- 凝った装飾がついている場合
- タグの洗濯表示に手洗いマークがない
無理に自宅で洗濯すると、どんなにやさしく手洗いしても傷んでしまう可能性があります。
しかしウールやカシミアは、タグの洗濯表示に手洗いマークがついていればホームクリーニングは可能です。
ホームクリーニングは、お気に入りの衣類に対してさらに愛着が湧きます。しっかりとメンテナンスをおこなうことで、10年以上使えることもあるのです。
洗濯のコツ
基本的には、ウールもカシミアも同様の洗濯方法です。
- 洗い桶を使い常温の水で洗う
- 押し洗い・振り洗いをする
- 柔軟剤を使う
- 脱水機で10秒ほど水分を切る
- 風通しのよい日陰に平干しする
「洗濯はぬるま湯で」とよくいわれますが、洗剤が溶ける水温であれば問題ありません。
使用する洗剤はウール用洗剤やおしゃれ着洗剤、もしくはお持ちのシャンプーでも洗えます。
シャンプーとは意外かもしれませんが、髪と同じくウールやカシミアも元々はたんぱく質なので、シャンプーでも汚れは落とせます。
すすいだ後は、洗剤で汚れとともに落とした油分を柔軟剤でチャージします。柔軟剤代わりにリンスを使っても大丈夫です。
洗濯の注意点
- 水の温度を上げすぎない
- 短時間で洗う
- 1枚ずつ洗う
どちらも自宅で洗う際は摩擦に注意し、短時間で済ませるよう心掛けます。やさしく1枚ずつ押し洗い、振り洗いできれいにしましょう。
カシミアの場合はとくにデリケートなので、他のものと一緒に洗うと毛羽立ちや縮みの原因になります。
また、目立つ汚れは部分的に揉み洗いしますが、それでも取れなければたんぱく質がシミとなったものと考えられます。
シミになってしまうと洗濯では落とせません。
洗濯機を使う場合
洗濯機で洗う際は、手洗いコース、もしくはドライコースに設定します。
汚れが外側にくるように畳んでネットに入れ、おしゃれ着洗剤(中性洗剤)を使用しましょう。
まとめ

それではウールとカシミアについて、紹介してきた内容をまとめてみましょう。
特徴 | ウール | カシミア |
動物 | ヒツジ | カシミヤヤギ |
値段 | 安価 | 高価 |
暖かさ | 暖かい | ウールより暖かい |
耐久性 | 比較的頑丈 | 非常にデリケート |
見た目 | ボリューム感がありカジュアル | 上品なツヤがありフォーマル |
使用する頻度が高く、安価な値段やカジュアルな見た目をとるのであればウール。
保温や保湿性、やわらかさなどの質感に加え、フォーマルな見た目を重視するのであればカシミア。
それぞれの素材が混じったものも販売されており、手触りも価格も異なります。実際に手に取って触れてから購入を決めるのがよいでしょう。
素材を使い分けて、寒い季節に負けずおしゃれを楽しんでくださいね。
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