我が家の子供達も冬休みに入りました。
冬休みといえばクリスマスにお正月、行事続きで子供にとっては楽しいのですが、主婦にとっては、料理をどうするのかなど悩みが増える時期でもあります。
我が家ではクリスマス料理は大体決まっています。
まずローストチキン。何年か前に図書館で借りた雑誌に載っていたレシピをずっと使っています。
調味液に30分ほど漬け込んで、グリルに並べてバターを塗って焼くだけという簡単さゆえに、ずぼらな私に選ばれて毎年我が家のクリスマスを彩っています。
他にはサラダとスープ。そしてデザートにケーキ。サラダの中身が変わったりはするのですが基本的には毎年同じメニューです。
でも、本当はクリスマスにはターキーを食べるものでチキンを食べるのは日本ぐらいだという噂を聞きました。
確かにクリスマスにはスーパーにターキーが出回ったりもするのですが、 何しろお値段が高いのです。
ターキーはどうしてこんなに高いのでしょう。そしてターキーとチキンは何が違うと言うのでしょう。
クリスマスにチキンはやっぱり邪道なんでしょうか。
あれこれ気になったので早速調べることにしました。
ターキーとチキン、違いはあるの?

ターキーとチキンにはたくさんの違いがあります。
鳥の種類
まず鳥の種類が異なります。日本語で言うと、ターキーは七面鳥、チキンは鶏です。
調理法の違いだと思っている人もいるようですが鶏の種類自体が違うのですね。
また、原産地も違います。七面鳥は中央アメリカが原産で鶏は東南アジアです。
ターキーは英語でトルコを表す言葉なのですが、原産地はアメリカというややこしいことになっています。
体の特徴
体の特徴で言うと、大きさが随分違います。
七面鳥はオスが13kg以上、メスが9kg以上になりますが、鶏は大きい品種でもオスが5.5kg位、メスが4.5kg位です。
七面鳥はチキンの2倍以上の体重ですから、かなり大きいのですね。
日本への伝来時期
日本への伝来時期も大きく異なります。
鶏は紀元前300年から西暦300年くらいの間に伝来しましたが、七面鳥は1830年頃に伝来し。まだ黒船が来る前に、オランダ人が長崎に持ち込んだようです。
飼育の規模、出荷時期
明治以降、クリスマスに食事をするという風習が少しずつ広がったのですが、日本では鶏の飼育の方が技術的に進んでいき、規模も拡大していきました。
七面鳥も家禽として飼育されているのですが、現在でも規模は全国で数千羽程度です。鶏は一億羽以上ですので全く数が違います。
飼育規模の差が値段の差になっているようですね。
さらに、出荷される時期にも差があります。
鶏は年間を通して生産、出荷されています。
七面鳥は自然条件下で春に産卵が行われ、孵化してから7~8ヶ月後の年末に肉の出荷が行われます。
それ以外の時期は冷凍肉や加工肉しか出荷されないので、あまり店頭で見かけることはありません。
ターキーはどんな味?栄養は?

ターキーとチキン様々な違いがあることはわかりましたが、やっぱり気になるのは味ですよね。
せっかくだったら美味しい肉が食べたいものです。
チキンを食べる機会は頻繁にあるのですがターキーは一体どんな味わいなのでしょうか 。
一般的にターキーはパサパサしていて水分量が少ないと言われています。日本でおなじみの肉に例えると鶏胸肉やささみに近いものと思われます。
栄養面で言うとターキーは全食肉中最も高タンパクと言われています。脂質や糖質も少ないので 低カロリーです。
その上ビタミンB6やB2、鉄分を含んでおり、ダイエット時の食事には最適と言えます。
ターキーを美味しく食べるためのひと手間
さてターキーは栄養面でとても優れていることが分かりましたが、日本人好みのジューシーな肉とは違うようです。パサパサしてまずいのでしょうか。
私は何年か前のクリスマスにターキーのもも肉のローストをスーパーで買って食べてみました。
その時食べたお肉はとても美味しくて、パサパサしているとは思いませんでした。
部位の問題だったのかもしれませんが、 下処理でも違いが出るようです。
ローストターキーを作る時には、事前に塩水法で塩漬けにするとお肉がしっとりしてパサつかないそうです。
引用:ローストターキー 七面鳥の丸焼き サンクスギビング レシピ・作り方
こちらの人気レシピにも、やはり漬け込みの工程がありました。
漬け込み時間を計算して早めに下ごしらえを始めないといけませんが、 漬け込んでいる時間は何もしなくていいのでそれほど大きな手間ではありません。
美味しく食べるために是非この工程をしっかり行いましょう。
また、近年高知県で飼育されている「しまんとターキー」は飼料を工夫して育てられており、日本人好みのジューシーな肉質を売りにしています。
こういう工夫された製品を初めから選ぶのも良いでしょう。
クリスマスにふさわしいのはどっち?

結論を言ってしまえば、どちらでも構いません。
なぜなのかを知るために、クリスマスのごちそうの移り変わりを 見てみましょう。
海外のクリスマス料理の歴史
当初、クリスマスのごちそうとして食べられていたのはターキーでもチキンでもありませんでした。
元々は豚や野生のイノシシの肉を冬至のころに食べていたのが次第にクリスマスの食事へと変わっていきました。
今でも北欧では豚肉料理をクリスマスに食べるそうです。
16世紀末頃から イギリスでガチョウが食べられるようになり、 次第にヨーロッパ全体に広がっていきました。
大航海時代にアメリカに移住したヨーロッパ人も本当はガチョウを食べたかったのですが、 残念ながらアメリカ大陸ではガチョウを手に入れることができませんでした。
そこで目をつけられたのがターキーです。
身近に生息し、比較的動きも鈍いので捕まえやすかったようです。
こうしてアメリカで食べられるようになったターキーが逆にヨーロッパに広まり、 飼育数の増加とともに一般化してきました。
日本のクリスマス料理
日本でクリスマスにご馳走を食べる習慣が一般化したのは明治以降のことです。日本ではターキーがあまり育てられていないので、 チキンで代用されました。
1970年代にケンタッキー・フライドチキンがクリスマスチキンを売り出したのがきっかけで一気にチキンが日本の家庭に定着しました。
このようにクリスマスのごちそうの歴史を紐解いてみると、ターキーもチキンもそれ自体に意味はなかったということがよくわかります。
つまり、ターキーかチキンかにはあまりこだわらずに、自分や一緒に食べる人の好みで決めて楽しめば良いということだと私は思います。
まとめ
ターキーとチキンは調理法ではなく鳥の種類が違いました。
ターキーは七面鳥、チキンは鶏です。
特徴は以下の表のような違いがあります。
七面鳥 | 鶏 | |
原産地 | 中央アメリカ | 東南アジア |
大きさ | オス:13kg以上
メス:9kg以上 |
オス:5.5kg程度
メス:4.5kg程度 |
日本への伝来時期 | 1830年 | 紀元前300年〜西暦300年頃 |
日本での飼育規模 | 数千羽 | 1億羽以上 |
生肉の出荷時期 | 年末ごろ | 一年中 |
ターキーの味は淡白で食感もパサパサしていますが、塩水に漬け込んだり、飼料に工夫をして育てたりで大分違いが出ます。
とは言え、クリスマスの食事としてはどちらでも特に問題は無いですので、値段や好みに応じて好きなお肉を楽しめば良いようです。
七面鳥の飼育数がもっと増えて手に入りやすくなればいいのにと思います。毎年工夫していろいろなクリスマス料理を楽しみたいものですね。
参考文献
- 農山漁村文化協会編. 『地域食材大百科 第4巻』. 農山漁村文化協会, 2010,92~93p, 117p
-
- 若林ひとみ.『クリスマスの文化史』. 白水社, 2004,168~171p
コメントを残す